導入事例紹介 - 秋田県花き種苗センター様

低温多湿貯蔵や接木苗養生には、無風輻射冷暖房が有効です!


  • △ルーム外観

  • △苗用台車、キャスタ付き

  • △制御盤

  • △雪の秋田、室外機がズラリと
     並ぶ

仕様

品名 発芽室 下記×2室 低温恒温室 ×1室
寸法
  • W4500×D2700×H2700(mm) 約3.7坪
  • 両開扉W1800mm × 1ヶ所
  • 本体パネル床面SUS、外装カラー鋼板
  • W3000×D2700×H2700(mm) 約2.5坪
  • 片開扉W900mm × 1ヶ所
  • 本体パネル床面SUS、外装カラー鋼板
空調 無風熱輻射冷却加熱方式、加湿器 無風熱輻射冷却方式、加湿器
照明 防湿、防滴仕様蛍光灯 防湿、防滴仕様蛍光灯
温度 5~35℃(±1.0℃) 0~5℃(±1.0℃)
湿度 70~95%RH(20~35℃) 成り行き(多湿)

制御結果の例(発芽室1:35℃→5℃)

恒温室では温度降下と温度上昇の両方を試験して降温特性と昇温特性を計測します。熱衝撃試験のように急速な温度上昇/下降を要求される場合には、Cool down timeやHeat up timeが問題になるため、強力な熱源機、高効率の熱交換器を採用し、その分高価になります。 一般的な恒温室ではコストパフォーマンスを考えて冷凍サイクル設計をします。通常昇温は速く、冷却が遅いのは、空気中に存在する水分のせいで、冷却する時は除湿して結露水をドレインとして取り出しながら温度を下げて行くためです。
上図は朝からスタートして35℃から5℃に下げた例です。この時の秋田県潟上市の外気温度は、0~3℃ぐらいで、冬としてはあまり寒くない日です。「作業舎内温度」というのは、この発芽室が設置されている建物内の温度で、既設の空調機が室温設定20℃で、比例制御で動いていることがわかります。 制御に詳しい方がご覧になれば、この降温特性から、フルパワー冷却していないことがわかるでしょう。実は2段冷却で、ゆっくり冷やしています。いろいろな条件で試験した中のひとつのデータと思って下さい。

秋田県花き種苗センター様のご紹介

秋田県花き種苗センターは、秋田県内の花き生産者を手助けし、花の生産と消費を活発にするために1997年に開設されました。ガラス温室などの施設を使い、生産者の皆さんに『品質の良い苗を作って安定して届ける』、『新しい技術や品種を試して生産の参考にしてもらう』といった仕事をしています。場所は、潟上市にある「ブルーメッセあきた」の中です。一般開放エリアの観賞温室や花の広場では、四季の草花を自由に見ることができます。

三基計装株式会社は、花の種子から発芽させ育苗するための施設として、無風輻射冷暖房方式のルームを納入しました。

秋田県花き種苗センター様 Webサイト

ブルーメッセあきた様 Webサイト

目的と特長

花の苗をJA全農あきたを通して花き生産農家に供給

花苗の生産には特殊な設備が必要で、これを花き種苗センターが請け負っています。
種子はセルトレーに専用の培土を充填し、自動播種機で種まきをします。これを発芽室に入れて発芽させ、取り出して育苗室へ移して育てます。
高温期には冷房育苗、低日照期には補光育苗と、手間がかかります。

苗にやさしい無風空調

発芽したばかりの苗はいわば赤ちゃんです。大事に育てなければなりません。幼苗の保護のためにも、無風でしかも精度よく空気調和を図るのがの技術です。そのためには通常の空調のように、空気吹き出し口からビュービューと風を吹くわけにはいきません。ただし温度分布の適正化のためにはゆっくりとした空気対流も必要です。

多湿環境、変温管理、照明管理

発芽には水分が必要なので多湿環境を維持します。温度、湿度、照明を設定可変する環境を整えています。ヒートポンプを活用して、省エネを図っています。

種子と発芽

種子は休眠し、それが解除された後、好適条件下で発芽する

種子は、内的な要因で発芽が阻害されている状態(休眠状態)では好適な条件下に置いても発芽しません。多くの場合、細胞が水を失い、胚の状態で休眠しています。休眠が解除された状態で、好適な条件下に置かれると、発芽過程が始まります。
発芽を促進する要素は、①水分が十分ある ②酸素が十分ある ③適当な温度になった、という三つです。呼吸によるエネルギー生産が始まり、種子の中にある幼い植物体が成長をはじめ、種皮を破って伸び、葉を地上に現す・・・これを発芽と言います。

光の明暗も発芽に影響する

照明下で発芽が促進される好光性種子と、暗所で発芽が促進される嫌光性種子があります。

冷湿処理

休眠状態にある種子を発芽させるためには、休眠スイッチを解除させなければなりません。
すなわち、眠りを醒ましたうえで良い環境に置くのです。種子を湿潤状態で0~5℃の低温条件下に、ある期間さらすと、種子の休眠が破られ、発芽が誘導されることが知られています。この処理を「冷湿処理」と言います。
冬の低温期の前に発芽すると、芽生えても低温のために枯死する危険性があるので、それを未然に避けるために、「一定期間の低温の後」でないと発芽しないというアルゴリズムが遺伝子の中に組み込まれているのでしょう。「冬が過ぎて春が来た」と思えば発芽するということであり、こういう条件を人為的に作り出してあげれば発芽するのです。

発芽→スプラウト

参考までの話ですが、英語では発芽させることをスプラウト(Sprout) といい、様々な種子を発芽させたものをスプラウトとして食用とします。日本では『モヤシ』と呼ばれます。スプラウトにするとビタミンなどの栄養素が大幅に上がり、年間を通して価格が安定していて、特に野菜価格が高くなると人気が上がります。市販されているモヤシの大半は緑豆です。
スプラウトとして貝割れ大根などはおなじみですが、最近ではブロッコリーやソバなど、各種スプラウトが出てきています。

アクセスマップ

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