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冷媒の変更
The substitution of the refrigerant
オゾン層破壊、地球温暖化防止という、地球環境を守るための冷媒の変更が進んでいます。冷媒は気体と液体の相変化時の熱量の移動を実現するものなので、常温でガスであり、圧力をかけて液化できる化合物である必要があり、これを構成可能な元素は、H:水素、C:炭素、N:窒素、O:酸素、F:フッ素などに限定されます。Cl:塩素やBr:臭素もそうなのですが、オゾン層問題で排除されました。
環境問題が騒がれた当初は、極地のオゾン層が破壊され、紫外線が直接降り注ぎ皮膚ガンになるなどの影響が懸念され、このための元凶として「フロン」が槍玉に上がりました。実はオゾンと化合して分解するフロンの中の塩素分が悪玉なのですが、フロンという物質は自然界では生産されず、人間の手で作られた化合物です。化学的に安全、安定な無色透明、無臭の物質で、不燃性等様々な面で大変優れた物質として、「奇跡の化合物」と言われ、あっと言う間に広まりました。米国のデュポン社とGE(ゼネラルエレクトリック社)が共同で1931年に開発した有機化合物で、名称はFluorocarbon(フルオロカーボン)、商品名は「フレオン」でした。したがって英文の仕様書などにはFreonと表現します。これが「フロン」と呼ばれているのは、日本で最初にこの物質を生産した大阪金属工業株式会社(ダイキン)の登録商標だからです。FREONからEを取ってフロン(FRON)としたわけで、フロンと呼んでいるのは日本だけです。ただし最近では「フロン」と言うとイメージが悪いのでフルオロカーボンと称しているようです。これはCFC(クロロフルオロカーボン)というもので、Cは塩素(Chlorine)、Fはフッ素(Fluorine)、Cは炭素(Carbon)の略です。
CFCという特定フロンのオゾン層破壊への影響を軽減するため、これに代わるものとしてHCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)というオゾン層破壊度がやや小さいものが開発されました。これはCFCの塩素の一部を水素に置換したもので、技術的に過渡期の製品です。その後塩素全部を水素に置換してオゾン層破壊への影響が無いHFC(ハイドロフルオロカーボン)という代替フロンが開発されましたが、どっこいオゾン層は破壊しないが、CO2の数千倍の地球温暖化への影響があるということで、これも見直しの必要があるということになっています。これは今後長い年月をかけて廃止の方向ですが、まだ代替冷媒すら採用が始まったばかりというのが現状です。基本的には大気放出しなければ良いわけです。
今や地球温暖化への影響軽減のため、野焼きをやめようとか、学校の小型焼却炉も廃止されるなど、CO2を発生させないようにして地球環境を守ろうという取り組みが盛んです。原子力発電もこの面からは比較的善玉です。工場でも黒煙を出す煙突は日本では見られなくなってきています。ただ、自動車だけは人間の欲求から、また産業の要求から減らすわけには行かないということで、この面の究極の対策が燃料電池車ですが、実用化までの過渡期に燃費の良いハイブリッド車が注目されています。そういうわけなので地球温暖化係数(GWP)の大きい代替フロンに代わる新冷媒が求められております。
CFCの代表選手はR-12(CFC-12)など、HCFCの代表選手はR-22(HCFC-22)と呼ばれるものですが、代替フロンではHFC-125、HFC-134aなどの不燃性のものが現在用いられています。他にHFC-32(GWPが小さい)、HFC-143aというものもありますが、これは微燃性です。最近の冷凍機で用いられているのは混合冷媒と呼ばれるもので、HFCをある比率で混合しているものですが、3種混合のR-407C(HFC-32/125/134a)、R-404A(HFC-125/143a/134a)、2種混合のR-410A(HFC-32/125)が代表的です。
[代替冷媒の特性と用途]
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旧冷媒 |
代替冷媒 |
特性 |
用途 |
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R-12 |
R-134a |
R-12と極めて良く似た冷媒特性なので、比較的早期に採用され始めた |
カーエアコンや冷蔵庫等 |
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R-22 |
R-410A |
圧力がR-22の約1.6倍→配管強度が必要、その分大きな冷暖房能力を発揮できる |
小型冷凍機、ルームエアコン |
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R-407C |
COPや圧力がR-22とほぼ同じなので、比較的設計変更が少なくて代替可 |
大型のパッケージエアコン、ルームエアコン、冷凍冷蔵装置 |
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R-502 |
R-404A |
吐出ガス温度がやや低く、圧力はやや高い。理論COPは1割ダウン、大きな設計変更不要 |
ショーケース、冷凍倉庫、保冷車等中低温域の業務用システム |
いずれの代替冷媒も従来使われていた油とは相性が悪く、エステル油及びエーテル油などが用いられます。
昔使われていたアンモニア(NH3)が地球温暖化への影響無しということで見直されて吸収式冷凍機などで再び使われていますが、この物質は微燃性で、且つ漏れると人体に危険(毒性あり、やけどのような症状を呈する)なので、どうしても保安対策が強化されるのと銅配管が使えないため装置が高価になり、産業用や大型ビル空調用に用途が限定されます。
そこでイソブタンやプロパン(C3H8)などという炭化水素(HC)冷媒が注目され、冷蔵庫などで実用化されだしました。漏れると爆発の危険がある冷媒のため、エアコンに較べて冷媒量が少ない冷蔵庫で実用に供せられます。他にもCO2や空気を冷媒とするという考え方もあります。フロンのような高効率の物質ではないため、機械、装置との開発の進歩によって徐々に実用化が進んでいます。CO2は安全ですが、成績係数(COP)が低く、高い圧力を必要とするため、空調用途にはまだ課題が多いとされています。日本では炭化水素(HC)系冷媒は燃料に使われるように強燃性であるため、消防法によって使えない時期がありました。ドイツなど環境先進国ではとっくの昔に実用化されていたブタンやプロパン冷蔵庫が日本ではダメという時代が長く続きましたが、今は日本製品も店頭で売られています。余談ですが日本では街角のどこでも見られる自動販売機、ヨーロッパでは10年前ですらほとんど見かけませんでした。日本の技術が進んでいるからでしょうか?答えはNOです。環境意識の高いヨーロッパでは自動販売機のフロンが許せなかったのです。
さて今後冷凍・空調用に用いられる冷媒はどのようなものが用いられて行くのでしょうか?これについてはダイキン工業株式会社のホームページをご覧頂いたらどうでしょうか。やはり本家ですから、「会社情報」の「環境への取り組み」のページに詳しい解説が載っています。
地球環境問題の詳細は経済産業省のホームページで詳しく紹介され、かつパンフレットも発行されています。クリックして経済産業省のホームページを呼び出し、「環境・リサイクル」→「地球環境対策」のページへ行くと各種情報が見られます。たとえばオゾン層保護対策についてのところでオゾン層保護対策&地球温暖化対策(代替フロン等対策)という部分をクリックしますと、「守ろうオゾン層防ごう地球温暖化」というページに行き、「守ろうオゾン層防ごう地球温暖化」パンフレットというパンフレットがpdfファイルで見ることが出来ます。